部屋をやさしく彩るヤチムン

cocue-033

緑釉、飴釉、呉須といった自然素材から作る釉薬で絵付けする伝統柄のヤチムンは、落ち着いた色あいの作品が多く、食器だけではなく、花器や一輪挿しなど、部屋を彩るインテリア小物として楽しむ人も多い。素朴な風合いは空間を壊すこと無く、料理と同じく、生けた花をより一層美しく引き立ててくれる。「お皿でやっている柄を応用したらおもしろいかなぁ、と思ってトライしてみました」と話すのは、工房コキュの芝原雪子さん。工房には、縄文土器を思い起こさせるようなひょうたん型の花器やルービックキューブのような立方体の一輪挿しが並んでいた。

cocue-092

普段作るうつわでも、北窯の親方に習った技に応用を利かせて、独自の世界を作り出している彼女だけに、心が躍らされるような創作的な作品が多い。「植物の緑に合うように色あいを考えたり、生けたいと思った花に合わせて形を考えることもあります。重さを考えなくてもいいので、普段お皿ではできないことを挑戦して遊んでみたりしてます」。工房の外にはたくさんの植物が並んでおり、植物好きなことが伝わってくる。よく見ると植木鉢は、欠けたうつわが使われていた。ヤチムンの植木鉢というのも趣があり、魅力的に映った。昨年は以前からやってみたかったというペンダントタイプのランプシェードを手がけた彼女。部屋を彩るインテリアとしての、ヤチムンの新しい可能性を切り開いている。

cocue-118